占い師に向いてますか?

占い館で一緒に働いていた占い師さんから相談を受けたことがあります。
実践経験のまったくないその新人占い師さんは、
初めてのお客様を激怒させてしまったのです。
なんとも運の悪いことに、初出勤にして初めてのお客様が、
よりによって占いのヘビーユーザーでした。
自信なさげな応対に、「あんた素人でしょ!」とそのお客様が叱咤したのです。
その声は館内に響き渡っていました。

結局鑑定料を払わずにお客様は帰ってしまいました。
が、問題はそれより何よりこの新人さんが参ってしまったことでした。
ほどなく、隣に座る私に「私は占い師に向いてますか?」
と思いつめて尋ねてきました。
「私の前に座って下さい」そう言って相談者席に座るよう勧め、占いました。

私も新人の頃、このようによく隣の占い師さんに、
"仕事のイロハ"を教わっていました。相談を受けるプロフェッショナルですから、
占い師の先輩の存在というものは、それはそれは心強いものです。 彼女には占いの才は十分にあると思いました。
どんな仕事にも理想のイメージというものがありますが、
そのイメージを基準に、自分を評価する必要は全然ないと思います。

理想の占い師になるのではなく、自分という個性を認める自分になることが大切です。
つまり、ありのままの自分であること、自分を極めるということです。
昔、私の鑑定を「大人しくて良かったです。占い師はもっと怖いものだと思っていました」
とおっしゃってくださったお客様がいました。
私らしい仕事をすれば良いのだと、思いがけず背中を押されました。
そんな過去の経験から、自分らしさに自信を持って占えば、
それだけで魅力的な占い師になるのではないかと感じ、
彼女には心からのエールを送りました。



文・構成・編集 : MONDO / 取材協力 : 采慧(サキ)




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